宇宙船ボストーク1号は、61年4月にひとりの男を乗せて飛び立った。

かつて神様がいると信じられた場所に到達したその男は、地上を見下ろして「地球は青かった」などと言ったらしい。

 

僕たちは盥だ。

街に雨の降る時、大小様々な盥に水が溜まってゆく。

ある盥は小さな盥の上に被さって、一心に雨粒を受けている。

底に穴の空いた盥の下で、今にも溢れかえりそうな盥もある。

そんな中、知恵を働かせて代わる代わる水を受ける盥の姿はなんとも美しい。

 

やがて陽が射し、溢れた水は舗道の塵を飲み込みながら国道を下り、海へと流れついた。

 

大洋を越え、やっと流れ込んだのは人々が祈りを捧げる聖なる川だ。

その畔では、祈りを天に還すように美しい音楽が響いているだろう。